今回は石膏ボードを貼る時の注意点について書いていきます。
石膏ボードの貼り方に関しては別記事で解説していますので併せて読んでみてください。
ボードを貼る時に次工程のパテ処理をスムーズに行えることを考えて施工できるのも、一流の職人になる為には大切な仕事だと思います。
知らず識らずの間にクロス屋さんやペンキ屋さんが首を傾げるような施工をしてしまう人も少なくありません。
勘違いしてはいけないのはパテ処理の工程はボード貼りのミスを隠すものではないということです。
パテ処理するからどうでもいいという考えを持ったままの人は間違いを間違いだと自覚しないまま年月が経ち、それが当たり前だと思い込むようになってしまうのです。
それでは、どのような壁がパテ処理しづらいものなのか一つ一つ説明していきます。
開き過ぎの目地
目地(めじ)というのはボードとボードの継ぎ目のことでジョイントとも言います。
ボード以外にも材料同士の継ぎ目は殆ど目地と呼ばれます。
ボードを施工する上で目地の隙間は壁の耐火性能や遮音性能に関わってくるのですが、開きの過剰な目地が建物の至る所に存在すると壁の性能が十分に発揮されないものとなってしまいます。
つまり、幾分か火災時の火の回りが早くなったり隣の部屋からの音が伝わりやすくなってしまうということです。
パテ処理をする際も隙間の分多くのパテと時間を浪費することとなります。
目地同様に入隅や窓枠などのサッシにボードを突付ける場合も大きく隙間を開けてしまうとコーキング(シーリング)作業が増えてしまうので気をつけましょう。
しかし、全ての隙間を0mmにするのは無理がありますし、隙間を無くそうとして無理矢理ボードを納めるのも良くありません。
常にボードに力が加わってしまう状態で納めると建物が揺れた時に破損しやすくなってしまいますので、隙間は開いていないけどもう少しで開きそうなくらいがボード貼りの理想の状態です。
そこまで徹底的にやっていては作業が進まないので、仕上げがクロスなら隙間は1.5mm以下、ペンキなら1mm未満までならコーキング(シーリング)作業をしなくてもいい許容範囲として施工しましょう。
付け加えて言うと、その許容範囲内で全て施工してくれるボード屋さんは真面目な会社です。そこまで手間をかけてくれる会社もなかなかいないものだと思っておいても良いでしょう。
3〜4mm → まあ仕方ないか...
5〜7mm → おいおい空きすぎだろ...
8〜9mm → パテしろってのかい...
10mm 〜 → ふざけんな、ぼけが...
このくらいの感覚でいいかと思います。
天井ギリギリの目地
稀にボードの横目地が天井に近い位置に来るように貼ってしまう場合があります。
そうなるとパテ処理しづらいのは当然ですが、単純にパテ処理しづらいだけでなく天井に近い位置ということは高い位置で作業することになります。
立ち馬などの足場上での作業が増え作業効率も自然と悪くなってしまうのです。
天井が組まれる前に壁のボードを貼る時は大体の天井の高さを把握しておくことも大事ですので、天井下地の組み方のうち天井レベルの出し方に関してしっかり理解しておく事が大切です。
入隅にベベルエッジ
ボードで言うエッジとはボードの端の部分のことを指します。
ベベルエッジとスクエアエッジが主流ですが、ベベルエッジは端が45°で角が立っていないボードで、スクエアエッジは端が90°で角が直角という違いがあります。
簡単に言うと、ベベルエッジは面取りされているボードでスクエアエッジは面取りされていないボードです。
ベベルエッジを入隅に当ててボードを貼ってしまうと、パテ処理時に本当は必要のなかった作業が増えることとなります。
クロス屋さんやペンキ屋さんは「嫌がらせかよぉぉお!笑」って思うかもしれませんね。
ただし、入隅にコーナー補強テープを貼る場合は隙間さえ空いていなければ問題にならないので大丈夫です。
ビス頭が飛び出ている
ボードのビス留めをする手段としてはスクリュードライバーやインパクトドライバー、エアービス打ち機など様々な工具が存在しますが、大抵のボード屋さんはスクリュードライバーを使用しての施工かと思います。
ボードの貼り初めにスクリュードライバーの先端部分でビスの深さを調節しますが、浅すぎるとボードよりもビス頭が出てしまいます。
他にもスクリュードライバーがボードに対して垂直に当てることが出来ていない場合もビスが斜めに刺さって、ビス頭が飛び出る原因となります。
あまりにもビス頭が出ているとパテ処理の邪魔になってしまいますので、クロス屋さんやペンキ屋さんは常にドライバーを持ってパテ処理をしています。
稀に1〜2本出ているのはまだ良いとして、1列全て飛び出ていたなんて時にはパテ処理が捗らなくなります。
1枚で貼れるところを割って貼ってある
当たり前ですが、目地が少なければ少ないほどパテ処理がスムーズに進みます。
材料に無駄が出ないのであれば、わざわざ目地を増やす様な貼り方は避けましょう。
一工夫するだけで綺麗に貼れたり、材料費を抑えられることもありますので無駄なボードが多く出てくる時は要注意です。
目違いによる不陸
目違いとは隣り合わせのボードとボードに段差がつくことを言います。
ボードと下地の間に異物が挟まった状態でビス留めしてしまうことが原因となります。
ボードを貼る前に床を掃いて物が挟まらないようにします。
上の図はボードの裏紙がゼンマイのように巻かれて捲れ上がっている状態を表していますが、ボード運搬時や加工時に引きずることによって捲れあがります。
加工後に裏も確認して挟まる物がないようにしてから貼りましょう。
目視でもわかる程の明らかな目違いのままパテ処理まで渡ってしまった場合でも、クロス屋さんやペンキ屋さんは仕方なしにパテ処理をすることとなります。
段差のあるボードとボードの間をパテで無理矢理平らにするわけですからパテの範囲も無駄に増えてしまいます。
間違いなく不陸の原因にもなります。
出隅のボードが飛び出している
ボードが飛び出したままの出隅にコーナー補強材をつけてしまうと飛び出している分出隅が膨らむのでその異変に気づかないまま上出来の箇所と同範囲でパテ処理をすると上手くいかず、パテが痩せたように見える場合があります。
飛び出してボードが貼られているとコーナー補強材も取り付けづらくなってきます。
出隅のボードを貼る場合は飛び出さないように表面から0.5〜2mm程度入れて貼るように気をつけましょう。
ただし、コーナー補強材をつけない場合はツライチ(±0mm)かほんの少し(+1.5mm以下)出ている方がパテ処理しやすいかと思います。