天井下地の組み方 LGS・軽量鉄骨天井下地(軽天)について解説

 

今回は天井下地の組み方について解説していきます。

 

  

 

天井下地を組む際の流れ

 

簡潔に手順を分けると

 

1、天井レベルを出す

2、ボルトを吊る

3、野縁受けを掛ける 

4、野縁を渡す

5、レベルを合わせる

 

というような流れになります。

 

天井レベルの出し方

 

【断面図】ボード厚み、天井高、FL


 天井を組む時は、まず最初に天井のレベル(高さ)を出します。

 

天井レベルが分からないとボルトの長さも決まりません。

 

全ネジボルト(ユニクロメッキ) M10×1000mm

 

図面を見て天井の高さを確認します。

 

天井に何mmの厚さの材料を貼るのか、1枚貼りか2枚貼りなのか。

 

それが分かれば割付けも明らかになりますので、どんなボードを貼るのか頭に入れておきます。

 

その際カーテンレールや吊り戸棚など天井下地が必要なものもは全て確認しておきます。

 

図面には天井の高さを表す数値が仮にch2400と記載されているとします。(chとはCeiling Height シーリングハイト 天井高のことを指します)

 

chの数値は床の仕上がりから天井の仕上がりまでの寸法を表しています。

 

ということは、仮に天井に貼る物がボード9.5mm+岩綿吸音板9mmとすると床の仕上がり面から2418.5mmで墨を出せば良いのです。

 

どこから測れば良いのか

 

床の仕上がり面からと言っても、初めはどこに合わせて寸法を測れば良いのか分かりませんよね。

 

例えば、床がコンクリートだとして床に直接スケールを当てて測っても床が完全にフラット(平ら)とは限りません。

 

どんなに狭い部屋の中でも高低差がありますので正確な数値を測ることはできません。

 

そんな時の為に基準墨というものが設けられています。

 

基準墨に合わせる

 

フロアー毎に柱や外壁面などにFL+1000mmの水平基準墨(メーター墨、FL±0から1m高い位置)が出されています。

 

FL±0(フロアーライン)とは床の仕上がり面の寸法を表しますので、基準墨に合わせれば床の高低差は気にする必要はありません。

 

部屋の床高が違う場合は図面にFL+やFL-で表記されているので見落としのないよう、計算間違えのないようにしましょう。

 

この墨を基準に建具、OAフロアなどの床材、天井その他様々な物の高さが決まります。

 

天井高の墨を壁に出す

 

FL+1000mmから天井レベルまで

 

※当記事ではFL+2418.5mmが天井下地のレベルと仮定して記述していきます。実際には0.5mm程度の数値は切り上げて2419mmで合わせます。

 

天井の高さを確認したらレーザー墨出し器を使用して、FL+1000mm基準墨から1418.5mm上になるようにスケールを合わせて壁に印を書き、墨つぼを利用して墨を出しておきます。

 

【タジマ TAJIMA】タジマ PS-EVOX-M パーフェクト墨つぼ EVOX-M

 

ボルトの吊り方 

 

吊りボルト配置図

 

次はボルトを吊ります。

 

上図の様に隣合わせのボルトは900mm間隔で、尚且つ壁際のボルトは壁から150mm以内に吊ります。

 

ボルトの吊り方は様々ですが、インサート、アンカーが あらかじめ仕込まれている場合はそれに応じてボルトを吊っていき 後に足りない部分にアンカーを埋め込んでもらいます。

 

ボルトがなかなか挿さらない場合もありますのでインサートやアンカーにボルトを吊る時のコツもご覧ください。

 

全ねじソケット ネジ径W3/8

 

サンコー GA-30 【100個入】グリップアンカー スチール製 ネジケイ 3/8 GA3 GA30

 

マキタ HR244DZKV [集じんシステムDX01付]24mm充電式ハンマドリル 18V

 

 ボルトの測り方

 

天井段差確認


ボルトの長さを測る際、まずは吊り元の勾配や段差の有無を確認しなくてはなりません。

 

1ヶ所のみ測定してボルトを吊る本数分 全て切断してしまってから長さが短いと気づいた時には大惨事となるので注意しましょう。

 

天井下地を施工する部屋で吊り元に明らかに高低差が無い場合は壁に出した墨を使ってボルトを測ります。

 

高低差があって壁の墨だけでは測れない場合はレーザー墨出し器を三脚や壁設置型のスタンドなどの固定台を利用して設置し、天井下地レベルに合わせてボルトを測ると手早く寸法を拾うことができます。

 

レーザー墨出し器用3m(有効高900〜3000mm)

 

軽天ホルダー磁石式 レーザー墨出し器 保持器 三脚不要

 

 

吊りボルトの寸法を測る際の詳細図


吊り元に直接スケールを当てて測った寸法から50mmほど引いた寸法でボルトを切断します。

 

マキタ 355mm 切断機

 

軽天用ハンガー

 

ユニクロメッキ 六角ナット 3分3/8 300個入

 

あとは ナットとハンガーを天井の仕様通りに組み立ててアンカーやインサート、吊りボルト用金具に吊って次の工程に進みます。(工法によってはブレースを使用して斜め補強を行う場合もありますので要確認)

 

ボルトの吊り元から天井レベルまで1500mm以上の場合は吊り元から1500mm未満になるように野縁受けを使用して水平振れ止めを1800mm間隔でXY両方向に取り付けます。

 

 野縁受け(親バー、チャンネル)の掛け方

 

野縁・野縁受けの方向

 

 野縁受け(チャンネル)は基本的に部屋の短い方向に掛けて、野縁(sバー、wバー)を長い方向に渡せるようにします。

 

軽天野縁受け C38チャンネル/4M/一般普及品

 

軽天シングルバー野縁【SB-19】/4M/一般普及品

 

軽天ダブルバー野縁【WB-19】19形Wバー/4M/一般普及品

 

野縁受けの方向

 

野縁受けの長さより部屋の幅が短い場合は部屋の幅と同じ長さに野縁受けを切って、1方向に向かって野縁受けを掛けていきます。(工法によっては壁と野縁受けの間にクリアランスを設ける場合がありますので要確認)

 

野縁受けのジョイント位置

 

部屋の幅より野縁受けの長さが短い場合はジョイント材を使用して野縁受けを繋げますが、隣の列の野縁受けとジョイントとがかぶらないように最低でもボルト2本分(1m以上)隣の列とジョイント(繋ぎ目)をずらします。

 

KIRII 桐井製作所 軽量鉄骨天井下地材 JIS材 CCジョイント

 

野縁受けを調節する位置図

 

野縁受けを掛けながら、野縁受けの両端と中を天井下地レベルより0mm~15mm程度上まで野縁受けの高さを調節しておくと野縁を渡す作業やレベルを合わせる作業を手際良く行えます。

 

また、なるべくボルトが垂直になるようにハンガーの位置も調節していきます。

 

この段階でハンガーが上のナットに当たっているとレベルを合わせる時に上に持ち上がらなくなるので、それも同時に確認して余分に持ち上がるくらいはナットを上に逃がしておきます。

 

ピッチ、割付けを書く

 

野縁受けを掛け終わったら、壁にボードが貼ってあれば壁に 割付けの印を書いていきます。

 

ボードが貼っていない状態の場合は壁に書く代わりに、壁から1番近い野縁受けに印を書きます。

 

・S野縁とW野縁の見分けがつくように印を使い分けて書きます。

 

・他の野縁受けにも4~5本間隔で割付けを書いていきます。

 

・ボードの種類や仕様によって野縁間隔が変わってきますので注意して割付けをしましょう。

 

野縁(子、バー)の渡し方 

 

野縁の長さより部屋の幅が短い場合は部屋の幅と同じ長さに野縁を切って、割付けの印に合わせてS野縁とW野縁を渡していきます。

 

野縁受けと同じ様に部屋の幅より野縁の長さが短い場合はジョイント材を使用して野縁を繋げますが、隣の列の野縁とジョイントとがかぶらないように最低でもボルト2本分(1m以上)隣の列とジョイント(繋ぎ目)をずらします。

 

KIRII 桐井製作所 軽量鉄骨天井下地材 一般材 Sジョイント

 

KIRII 桐井製作所 軽量鉄骨天井下地材 一般材 Wジョイント

 

下記関連記事では、知っておいた方が良い基本的な事を書きました。こちらも是非読んでみてください

www.keiten-daisuki.work

 

 

クリップを掛ける手順

 

まずは 野縁がたるみ過ぎない程度、両端と中1箇所にクリップを掛けて 足場上届く範囲全ての野縁を仮留めしていきます。

 

その後、野縁と野縁受けが波打たないように真っ直ぐ整えながら野縁受け方向にクリップを掛けていきます。

  

ここでしっかり下地を整えずに作業を行うと雑な天井が出来上がるので注意しましょう。

 

・野縁受けと並行に隣り合うクリップは交互に掛けること。

 

KIRII 桐井製作所 軽量鉄骨天井下地材 一般材 Sクリップ

 

KIRII 桐井製作所 軽量鉄骨天井下地材 一般材 Wクリップ

 

レベルの合わせ方

 

最後に、墨に合わせて天井を水平にする作業です。

 

レーザー墨出し器を三脚やスタンドなどにセットして最初に出した天井墨から100mm前後下がった位置に水平照射させます。

 

次にレーザーから天井レベル墨までの寸法を測り、その数値に野縁の厚み分19mmを足します。

 

仮にレーザーから天井墨まで100mmとして、119mmがレーザーから野縁受け下端までの寸法とします。

 

スケールを当てる位置は調節するハンガーの真隣にするとより正確に寸法を測ることができます。

 

準備が整ったら、まず野縁方向の部屋中央付近の1列の高さを調節します。

 

次に、中央から左右に2列目4列目6列目8列目...と1列置きに左右同時もしくは交互に端に向かって締めていきます。

 

左右端の列は初めに出した天井レベル墨に合わせてナットを締めます。

 

最後にレーザーを使用せず3列目5列目7列目...と両隣の均衡を保つようにしてナットを締めれば完成です。

 

おわりに

 

上記の施工手順は基本的な方法を記したものであり、厳密には建材・資材メーカーで明記されている方法や各現場で指示される施工要領に従って適切な施工を行ってください。

 

 

 

 

 

 

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