石膏ボードの貼る向き 縦貼りと横貼りどっちで貼ったらいい?

 

今回は石膏ボードを貼る向きについて解説していきたいと思います。

 

まず、本題に入る前に知っておいて欲しいこととして、第一の優先は現場の指示通りの施工をするということです。

 

施主・設計・監督の意向に従い図面や現場に該当する施工要領に則りつつその壁の状態に応じた貼り方をしなくてはなりません。

 

そして、2つ目は壁の種類です。

 

一般壁、これは区画壁に該当しない天井下で設ける仕切り壁のことを指します。

 

次に区画壁(界壁、耐力、耐火、遮音など)に関してはその現場に該当する仕様書及び建材メーカーの工法、もしくは設計者の判断によって貼り方が指定されるので詳細を確認してから貼るようにしてください。

 

以下書いていく内容に関しては、私独自の解釈によるものなので納得できる内容であれば、ぜひ参考にしてみてください。

 

 

石膏ボードを貼る向きは?

 

ボードの貼る向きを決める上で、まず重視するべきは品質としてクラックの起こりにくい貼り方、その次に時間・材料ともに、無駄を減らすことによる費用の削減を目的として貼るのが正しい貼り方です。

 

例えば、下図のように材料の無駄を省くためにと細かなボードばかり使用して貼った壁は素人目に見ても決して丈夫な壁には見えないでしょう。

 

品質も落ちる上にビスの留め付け箇所も増え、ボードの加工回数も多くなるので より時間もかかってしまいます。

 

細々と貼られたボード

 

しかしながら、現実的には工期短縮・人材不足によって品質が疎かになってしまう場合も多くみられる為、現状ではどの程度の品質まで上げることができて工期を守れるかの許容範囲の見極めが重要となってしまっています。

 

クラックとは壁のひび割れのことで、クラックの原因はいくつかあり、下地(軽量鉄骨下地、木下地、及びその補強が疎かな場合)の施工が悪い場合、ボードの施工が悪い場合、パテ処理及び目地補強の施工が悪い場合、様々ありますが今回はボードの貼る向きと紐付けて書いていきます。

 

さらに、冒頭で述べたようにクラックを発生させにくい貼り方をしつつ、材料の無駄をなるべく出さない貼り方をし、尚且つ施工し易い貼り方をして時間も無駄にしない。もしくは、そのいずれを重視するかをその場に応じて判断できる。

 

そんな貼り方を思いつき実行できる職人が熟練した職人と言えるでしょう。

 

ものすごくわかりづらいかもしれませんので、ひとまず みなさんが知りたい答えを率直に言うと、ボード1枚で仕上がる場合は縦貼りで、ボード2枚で仕上がる場合の1枚目は横に貼って2枚目は縦に貼るのが大体、そして1枚目のボードと2枚目のボードは150mm程度目地がズレるように貼る。さらに言えば一般壁の場合は目地表(めじあらわし)または素地(そじ)で仕上がる壁の場合を除いて、絶対に縦、絶対に横というのはありません。どちらで貼ってもボード自体の機能は果たしますので、貼りやすいように貼る。ただし、現場のやり方に合わせて貼るのが大前提。ということさえ頭に入れておけばそうそう困ることはありません。

 

注意することとしては、施主や設計者に貼り方を指定された場合はそれ以外の貼り方をすれば全て間違いになってしまうということ。また、同じ建物に複数の施工業者が入る場合はある程度貼り方も統一しておいた方が良いということです。

 

どんな貼り方が良かったかは、その壁の高さや形、建具など開口部の位置によって建物の数ほどパターンがあるので、貼った後にこう貼ればもっと良かったのではないかと思うことはよくあることなので、絶対にこう貼った方が良いなんて強要をすることはありません。

 

しかし、少しでも丈夫で効率が良くて無駄のない貼り方が良いだろうなと思っている、そんな方は是非最後まで読んで一緒に考えてみてくれたらなと思います。

 

海外や企業によっては横貼りを中心に仕上げる場合もありますが、どのように貼ったら良いのか、一体どんな貼り方が正解に近いのか順を追って考えていきましょう。

 

地震は横揺れの方が強い

 

クラックの主な原因は地震によるものです。地震力は縦に働く力より横に働く力の方が約2倍もの力があり、さらに横揺れの方が時間が長い為、建物の耐震性能は主に水平方向に作用させるものとして考えられています。

 

このことを念頭において話を進めていきます。

 

縦貼り(ボード1枚の場合) 

 

壁がLGSで組まれている場合の建物を部位毎に見ていくと、一つの壁はLGSを骨組みとして石膏ボードをビスで留め付けることによって一体となっています。

 

せっこうボードを縦で貼った場合と横で貼った場合


上図のようにボードが貼られた状態で建物が横に揺れた場合、ベベルがあるAの縦貼りは目地付近のビスが左右にズレようとしてもベベル部分の紙がせっこうを巻き込んでいるので広がりづらく、対象にBの横貼りは横に揺れるとビスがせっこうを押し出して動いてしまいます。

 

スタッドとボードが分離しやすいのは明らかにBの横貼りの状態です。

 

 すると、1枚貼りでクラックの起きづらい貼り方はAの縦貼りということで良さそうに思えます。

 

次に別な貼り方の例を見ていきましょう。

 

 

 

随時更新します。