今回はどのようにして壁下地を組んでいけばスムーズに進められるだろうか、それについて話していきます。
地墨の確認
まず1番最初にやらなくてはならないことがありますが、あまりみんなやっていないことかもしれません。
それは地墨の確認です。
稀に起きることですが、墨出しが間違ったままの状態でランナーを取り付けてそのまま壁が建ってしまうことがあります。
地墨を出したのが誰であれ1度造ったものを戻って直すことになってしまうのは大きな損害です。
気付くのが遅ければ遅いほど大問題で、被害は大きなものとなっていきます。
そんな大きな問題でも初めの段階で気付くことができれば何事もなく進行していくので、ほんの少しの手間を惜しまずにまず初めは地墨の確認から始めることが最終的な早さに繋がります。
効率良くランナーを取り付けるためには
上部ランナーを取り付ける際はレーザーを当てて印をつけてから取り付けます。レーザーがランナーに反射して正しい位置がわかりづらくなるため上手くやらないとズレます。
慣れてくればほぼズレもせず取り付けることができるのですが、初めの方は必ず印を付けることをお勧めします。
つけたり外したりと、やり直しの作業がなければスムーズに進行していけますので、結果的に無駄の少ない効率的な作業になります。急がば回れです。
そして、天井が高い、上部スラブまでが高い場合は足場や高所作業車、立ち馬を使用しての作業となりますが、上部ランナーを付けた段階でスタッドの長さを測っておきましょう。
3mちょっとまでなら下にいる状態から上のランナーにスケールの爪を引っ掛けて測ることができると思いますが、4m〜5mそれ以上になってくると下にいる状態から測るのが困難になってきます。
ですので、高所作業車上もしくは立ち馬上からスケールを下に向かって垂らしてスタッドの長さを測った方が圧倒的に容易なのでランナーを全て取り付け終わってから戻って測るのではなく、ランナーを取り付けながら細やかに測っていきます。
段取りに関しては、あらかじめランナーを使用する本数分近くに準備しておくことです。
取り付けて取りに行っての繰り返しは良くありませんので、使用する分のランナーは近くに運んでおきます。
次に、ランナーを取り付ける際に使用するガスピンやビス類は多めに持っておくことです。腰袋の中に入れておく分と予備に箱で持ってきておきます。明らかに足りる場合は使用する分のみで大丈夫ですが、作業車の上や足場に登ってから取りに行くのもかなりの無駄となります。
見逃しがちなのが、ガスネイラやインパクトドライバーなどの充電です。これもまた悪いタイミングで充電が切れてしまうと、ランナーを持ち上げて いざ留めつけようとした時に切れると言った悲劇が起きてしまうので注意しなくてはなりません。
作業車を使用する場合は作業車の充電や燃料の残量チェックも必須です。
休憩に入る前に充電などは済ませておきましょう。
効率良くスタッドをたてるためには
まずはランナーの側面にスタッドのピッチをマジックなどで印をつけます。
割り付けを行う際はしっかりと図面を確認し、両面の壁に何が張られるのかピッチは間違いないかチェックします。
さらに、天井内まで伸ばす壁は天井内配管、ラック、ダクトなどの壁を貫通するものがあればその開口も行わなくてはならないためその確認もしっかり行っておきます。
間違えて直したり戻る作業が1番非効率な作業となりますので、怪しいと思ったらすぐ確認し、場合にもよりますが返答が無ければ無理に突き進まず別の場所を進めて行くようにすると良いでしょう。
次にランナーを取り付けたところ全てのスタッドの長さを測ります。
この時、開口部があれば補強材の長さも同時に測って本数を数えておきます。
寸法にバラつきがある場合はランナーの内側にわからなくならないように寸法を書き込み、メモをとってまとめてから加工場所に向かい、スタッドも補強材料も全て切ってしまいます。
施工場所から加工場所までの行き来を減らすためです。
その後、本数が多い場合は台車に乗せて一気に施工場所まで運びます。
C型スタッドでスペーサーを取り付ける場合、加工場所で付けてしまわずに施工場所の近くに広さに余裕がある場合は施工場所まで束を切らずにスタッドを運んでからスペーサーを取り付ける方が台車にスタッドを乗せる際に積み込み易いです。
スタッドを建て込んでいく作業に関してはまずは、とにかく建て込んでいきます。
初めから丁寧にまっすぐ立てていく方もいますが、倒れて外れてしまわない程度に次々と建て込んでいき、振れ止めを入れてからピッチを合わせてしっかり真っ直ぐに立てた方が2度手間にならなくて済みます。振れ止めを入れる際にスタッドがズレる場合があるからです。
補強材も立て込んで、縦振りを見て固めてしまいます。補強材を固定してしまうとスタッドを立てづらくなる場所は先にスタッドを立てて、振れ止めが入らなくなる部分は先に振れ止めを入れておきます。
最後に振れ止めを はめ込み固めて、まぐさの取り付けとまぐさ上のスタッドを立てたり残りの作業を進めていきます。
初めに開口部分を造っていっても良いのですが、開口部分を先に造るとスタッドを立てづらくなってしまう部分も出てくるので、状況によって判断してください。
手順を間違うと戻り作業となり本来は必要のない作業を繰り返すことになり、それの積み重ねによって速い人と遅い人との大きな差となってしまうので、戻り作業が無いように細部まで気を配りながら作業を進めていきましょう。
1人で作業を行う場合で下地を早く施工するコツとしては簡潔にまとめて言うと、一気に切ってしまうことです。
まとめて切れば加工場所と施工場所の行き来の回数が減るのでその分の時間短縮が見込めます。
2人以上で作業する場合は、逆に必要なものから順に少しずつ切っては持って行きを繰り返して進める方が効率的となります。
2人以上での作業では出来る限り誰の手も空いてしまうことのないように進めることが効率的な進め方の基本です。
施工者が加工者の加工を待つ、加工者が施工者の指示を待つことを出来るだけ減らすことが出来ればスムーズに作業が進みます。