今回は壁を素地貼りをする場合のスタッドの割付け方を解説していきます。
素地仕上げとは
素地仕上げとは 読んだままの通りで、もとのままそのもので仕上げるということで 石膏ボードならばペンキも塗らずクロスも貼らずに仕上げるという意味になります。
石膏ボードそのものの表面が仕上げ物となるため傷や汚れが付かないようにかなり気を使う作業です。夏場は汗が垂れてシミになってしまわないようにするのに必死です。
1枚貼りならビスのピッチをきちんと揃えて打たなくてはならないし、端部を留めつける際はボードが割れてしまわない様に注意します。基本的には303mm間隔で割付けを行いスタッドを立てます。
2枚貼りならステープルのピッチを揃えて、ボンドが着いて汚してしまわない様に注意して貼ります。2枚貼りは455mm間隔です。
さらに、ボード1枚1枚高さや縦目地も揃えて貼らなくてはならないですし、形鋼などの加工も加われば尚更 手間がかかるので普通に貼るのと比べてかなり大変な貼り方です。
素地貼りの割付け方
壁を石膏ボードの素地貼りで仕上げる場合はスタッドを立てる段階からどう貼るのか決めておく必要があります。
2枚貼りの場合でも後からになって目地の位置を決めて、1枚目と目地が被ってしまうと良くないのでしっかり確認しておきます。
図面で予め指定されている場合はその通りの位置に目地が来るように割付けを行ってスタッドを立てます。
納りが良いようにと任された場合、まずは基準となるものから考えます。
サッシや窓枠などの建具関係、壁際の柱、部屋の端から端など様々です。
ここで注意しなくてはならないのが天井です。天井も素地貼りだった場合天井の目地と壁の目地を揃えるか否か、勿論 揃える方が綺麗に見えますし、揃えないにしても中途半端にずれていると かなり見栄えに違和感が出てしまいますので、ちょうど半分ずらしでとなっていくかと思います。
それによっては天井の器具やエアコンなどのものの位置と目地を合わせるか否かも事前に考える必要があり沢山の問題が生じることとなりますので天井は何を貼るのか壁の割付けの段階で知っておく必要があります。
ですが、そこまで要求される場合 普通であればしっかり図面ができていることでしょう...
サッシや窓枠を基準に割付けをする場合
サッシや窓枠を基準としたい場合は下図のように枠の幅が910mm以上と910mm以下の場合、さらにはジョイナーなどの見切りを使用する場合と様々です。
枠に合わせて割付けを行う場合は、枠に合わせた状態にして割付けをしてみて部屋の端や壁際の柱に細い材料が入ってしまうようであれば芯割りと芯跨ぎを変えるか 枠に合わせるのをやめて他のものを基準に割付けをします。端の方で最低でもスタッド2本に跨いで貼れる幅以上になるようにしましょう。
壁際の柱を基準に割付けをする場合
上図のように柱が連続して壁の縁が切れる場合は柱間ごとに芯割り芯跨ぎもしくは片押しで割付けを行います。
芯割りと芯跨ぎどちらかの判断基準としては両端に455mm以下が入らない方を選ぶと結果的に目地が減るので見た目がすっきりして良くなることと目地が減ることによって使用するビスの量を削減することができるメリットがあります。
片押しを採用する時は特に目地の位置や見た目にこだわることは無いとの指示があった場合です。そういった場合は貼りやすいように割付けをしましょう。
部屋内を基準として割付けをする場合
この場合は単純に柱間で割付けた時と同じように 芯割り芯跨ぎ片押しのどれか適切な方法で部屋内を割付けます。
複数の開口部がある壁面を素地で貼る場合
複数のサッシや窓枠がある場合、ジョイナーなどの見切りで区切れればその開口間で割ったり跨いだりで割付けをします。
開口ごとに区切られない場合はどれか1ヶ所を基準とするわけではなく、どこの開口際にもボードを留つけられる幅でボードが入るように割付けをします。このパターンの場合は見た目云々ではなく施工可能かどうかで割付けを行うしかありません。
素地貼りの裏面も素地貼りの場合
素地貼りの裏面も素地貼りの場合で、どうしても割付けが合わない時は必要な位置で表面の分のスタッドと裏面の分とで両方のスタッドを立てることによって対処するか、多少妥協して両面とも不具合の出ないように割付けを行いましょう。
目地現しとHジョイナー
目地現し(めじあらわし)とは、ペンキ仕上げで石膏ボードのベベル部分を見せる仕上げ方で、目地現しの1枚貼りは素地貼り同様に割付けをします。
Hジョイナーを使用する1枚貼りの場合も同じです。
終わりに
図面の書き方も様々で、平面図に壁の仕上がりまで記載されているものもあったり 別紙で仕上げ表を用意してある場合もあります。
素地で2枚貼りであれば目地が被ってしまわないように割付けを行えば良いだけなので、もしもボードを貼る段階まで気づかなかったとしてもどうにでもなります。
しかし、素地で1枚貼りの場合で後になってから素地仕上げだと気づいた時にはスタッドの位置を調整し直したり、最悪のケースとしては素地の裏面の壁を貼ってしまってスタッドを動かせない状態になってしまうこともあります。
そうなると反対面のボードを剥がさなければならないことになってしまいます。いっその事2枚貼って仕上げるという選択肢もありますが、もちろん納りとして他のものに影響を与えない場合で 現場監督や設計者や施主などが異を唱えない場合に限りますので、そういったミスが発生しないように事前に各部屋の仕上げの種類を把握しておくことが大切です。
そこまで気が回らないような大規模な建物の場合でも部屋名だけでも確認してから作業に取り掛かるという癖をつけるだけで、例えば倉庫や電気室、機械室、SK、バックヤードなどの部屋は素地仕上げの確率がグッと上がりますので そこはどんなに急かされるような現場であっても注意深く確認しておくと良いと思います。
ここはこんな風にした方がいいよと思ったり、何かお気づきの点がございましたら是非コメントやツイッターを通して教えて頂けると幸いです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。